【平塚駅の歯科】歯石取りはなぜ痛い…
こんにちは。
平塚駅の駅ビル、ラスカ新館7階の「湘南デンタルクリニック」です。
「歯医者で歯石を取ってもらいたいけれど、ガリガリされて痛そうだから行きたくない」
「以前、歯石取りをしたときにすごく痛くて、それ以来トラウマになっている」
このように、歯石取り(スケーリング)に対して恐怖心や苦手意識を持っている方は決して少なくありません。
お口の健康を守るために大切なケアだと分かっていても、痛い思いをするかもしれないと思うと、どうしても足が遠のいてしまいますよね。
しかし、結論からお伝えすると、歯石取りの痛みは誰もが必ず感じるものではありません。
痛みの出やすさは、「お口のなかの状態」や「歯石の放置期間」によって大きく変わります。
つまり、原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで、歯石取りの痛みや不快感は大幅に軽減することができるのです。
本コラムでは、現役の歯科医療従事者の視点から、歯石取りで痛みが生じる本当の原因、痛みを減らすための具体的なアプローチ、そして歯石を放置することの恐ろしいリスクまで、徹底的に解説します。この記事を読むことで、歯石取りへの恐怖心が和らぎ、前向きな気持ちで歯科医院に通う一歩を踏み出せるようになりましたら幸いです。
◎ 歯石とは?なぜ毎日の歯磨きで落ちないのか
そもそも「歯石」とは一体どのようなものなのでしょうか。痛みの原因を知る前に、まずは敵である歯石の正体を正しく知っておきましょう。
私たちの歯の表面には、食事の後に「プラーク(歯垢)」と呼ばれる白くネバネバした汚れが付着します。プラークは食べカスの塊ではなく、1mgあたり1億個以上もの細菌がひしめき合っている「細菌の塊」です。
このプラークが曲者で、お口のなかに残ったまま放置されると、唾液に含まれるカルシウムやリンなどのミネラル成分と結合し、わずか食後4〜8時間で磨き残した食べかすに細菌が結びつき、ネバネバしたプラーク(歯垢)が形成されます。
24〜48時間(2〜3日)でプラークが唾液中のカルシウムやリンなどのミネラルと結びつき、石灰化が始まります。
1〜2週間後には石灰化がさらに進み、歯ブラシでは落とせない硬い「歯石」として完成します。
一度歯石になってしまうと、その名の通り「石」のように硬く歯の表面にこびりつくため、市販の歯ブラシでいくら強く磨いても絶対に落とすことはできません。
爪で引っ掻いたくらいではビクともしないほど強固に結合しているため、歯科医院にある専用の医療器具を使って「削り取る」あるいは「振動で弾き飛ばす」しか除去する方法がないのです。
また、歯石の表面は顕微鏡で見ると非常にザラザラしています。このザラザラした表面は、さらなるプラーク(細菌)が付着しやすい絶好の温床となります。歯石の上にプラークが溜まり、それがまた歯石になり……という悪循環を繰り返すことで、お口のなかの細菌は加速度的に増殖していくことになります。
◎歯石取りで「痛い!」と感じる5つの主な原因
歯科医院で歯石取りを行う際、多くの場合は「少し振動を感じる」「水がしみる」程度で終わりますが、人によっては強い痛みを感じることがあります。
その原因は、決して歯科衛生士の腕が悪いから(下手だから)だけではありません。
主に以下の5つの理由が関係しています。
① 歯茎(歯肉)に炎症が起きている(歯周病の進行)
歯石取りで痛みが出る最大の原因は、実は「歯茎の炎症」です。
歯石の周りには大量の細菌(プラーク)が停滞しているため、周囲の歯茎は常に攻撃を受け、赤く腫れてブヨブヨとした炎症状態(歯肉炎・歯周病)になっています。
健康な歯茎は触られても痛くありませんが、炎症を起こして腫れ上がった歯茎は、非常に敏感で傷つきやすい状態です。
そのため、歯石を取る器具が少し触れたり、器具から出る水圧が当たったりするだけで、強い痛みを感じたり、簡単に出血したりしてしまうのです。
② 歯石が大量に溜まり、硬くなっている
歯科医院への通院が久しぶりで、何年も歯石を放置していた場合、歯石は驚くほど分厚く、そしてコンクリートのように硬くなっています。
これを完全に除去するためには、歯科用器具のパワーを上げたり、何度も同じ場所をガリガリと擦ったりする必要があります。
処置にかかる時間も長くなり、歯や歯茎に加わる刺激が強くなるため、結果として痛みが強くなってしまいます。
③ 歯茎の奥深く(歯周ポケット内)に歯石がある
歯石には、目に見える「歯茎の上の歯石(歯肉縁上歯石)」と、目に見えない「歯茎のなかの歯石(歯肉縁下歯石)」の2種類があります。
歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目にある溝(歯周ポケット)が深くなり、その奥深くに黒くて極めて硬い歯石がこびりつきます。
この奥深くの歯石を取る(ルートプレーニング)ためには、器具の先端を歯茎のなかに潜り込ませる必要があるため、どうしても強い痛みや痛みを伴う刺激が生じやすくなります。
④ 知覚過敏や虫歯がある
歯石取りの最中に「キーン」と痛みが走る場合、知覚過敏や虫歯が原因の可能性があります。
歯石取りでは通常、「超音波スケーラー」という毎秒数万回振動する器具を使用し、同時に熱を持たないよう大量のお水を噴射します。
歯の根元が露出している知覚過敏の方や、目に見えない小さな虫歯がある方は、この超音波の振動やお水の冷たさが歯の神経にダイレクトに伝わり、激しい痛みを覚えることがあります。
⑤ 歯石によって歯の神経が守られていた(感覚の麻痺からの解放)
長年、大量の歯石が歯の周りをギプスのように覆っていた場合、歯の表面が外部の刺激(冷たいものや空気)から遮断されています。
そのため、歯石を綺麗に取り除いた瞬間、それまで隠れていた歯の表面や根元がむき出しになります。これにより、一時的に神経が過敏になり、空気や水に触れるだけで「痛い」「しみる」と感じるようになるのです。
これはお口が綺麗になった証拠でもあるのですが、患者さまにとっては「歯石を取ったら痛くなった」と感じる原因になります。
◎歯科医院で行う歯石取りの種類と手順
歯科医院では、患者さまのお口の状態に合わせていくつかの器具を使い分け、できるだけ痛みを抑えながら効率よく歯石を除去しています。
■ 超音波スケーラーによる除去
現在の主流は、お水を出しながら超音波の微細な振動で歯石を粉砕して弾き飛ばす「超音波スケーラー」です。
手作業に比べて短時間で広範囲の歯石を効率よく落とせるため、患者さまの顎への負担も少なくなります。ただし、前述の通り「キーン」という高い音や、冷たいお水がしみる感覚が苦手という方もいます。
■ ハンドスケーラーによる除去
細かな部分や、超音波だけでは落としきれなかった頑固な歯石、または歯茎の奥深くにある歯石に対しては、「ハンドスケーラー」と呼ばれる手動の器具を使用します。
一本一本、歯科衛生士の手先の感覚で丁寧にガリガリと削り落としていきます。
硬い歯石を落とす際には、歯を引っ張られるような独特の感覚や、鈍い痛みを伴うことがあります。
■ 処置の一般的な流れ(複数回に分ける理由)
「なぜ歯石取りは1回で終わらないの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
お口全体の歯石の量が少なく、歯茎が健康であれば数回で終わることもあります。
しかし、歯周病が進行している場合は、まず第1段階として「歯茎の上の見える歯石」を落として歯茎の腫れが引くのを待ちます。
その後、第2段階として「歯茎の奥深くの隠れた歯石」を丁寧に数ブロック(右側、左側など)に分けて除去していくため、合計で3〜9回ほど通院が必要になるのが一般的です。これは、患者さまの体への負担や痛みを最小限に抑えるための、医学的に正しい手順なのです。
◎ 歯石取りの痛みを減らすための5つの対策
「それでもやっぱり痛いのは嫌だ!」という方のために、歯科医院側が用意している対策と、ご自身でできる対策をご紹介します。
我慢せずに、賢く痛みを回避しましょう。
① 事前に「痛みに弱い」「怖い」と正直に伝える
最もシンプルですが、最も効果的な対策です。問診票や事前のカウンセリングで「過去に歯石取りで痛い思いをした」「痛みに極めて弱い」と伝えておきましょう。
歯科衛生士は、超音波スケーラーの振動パワーを最弱に設定したり、手動の器具で優しく少しずつ進めたり、こまめに声をかけながら施術を行うなど、出来る範囲の配慮をしてくれます。
② 麻酔(表面麻酔・局所麻酔)を活用してもらう
歯茎の炎症が強い場合や、歯周ポケットの奥深くを掃除する場合は、遠慮なく麻酔を希望してください。
注射の麻酔(局所麻酔)だけでなく、歯茎に塗るだけで感覚を麻痺させる「表面麻酔(ジェル状のもの)」を使用するだけでも、器具が触れるチクチクとした痛みは劇的に和らぎます。
保険診療の範囲内でも麻酔は使用可能ですので、痛みを我慢する必要はまったくありません。
③ 知覚過敏用の処置をしてもらう
しみる痛みが強い場合、あらかじめ知覚過敏を抑制するお薬を歯に塗ってからスケーリングを始めることで、キーンとしみる痛みを和らげることができます。
④ 日常のブラッシング(歯磨き)を見直して歯茎を鍛える
歯科医院に行く前の「自分自身での準備」として、毎日の歯磨きを丁寧に行い、歯茎の炎症を少しでも落ち着かせておくことが非常に重要です。
「歯茎から血が出るから」と触らないようにしていると、炎症は悪化する一方です。
毛先の柔らかい歯ブラシを使い、歯と歯茎の境目を優しくマッサージするように磨くことで、数日から1週間ほどで歯茎が引き締まり、歯石取りの際の痛みを大幅に減らすことができます。
⑤ 定期的な通院サイクルを作る
これこそが最大の痛み対策です。
少なとも3ヶ月〜4ヶ月に1回のペースで定期検診に通っていれば、歯石はまだ柔らかく、量も少ない状態です。
軽い力でサーッと撫でるだけで落ちるプラークであれば、痛みを感じることはほとんどありません。「痛いから行かない」のではなく、「痛い思いをしないために、こまめに行く」という意識の転換が大切です。
◎ 「痛いから」と歯石を放置する3つの致命的なリスク
痛みを恐れて歯科医院から足が遠のき、歯石を何年も放置してしまうと、お口のなかだけでなく、全身の健康を脅かす恐ろしい事態を引き起こします。
警告する主なリスクは以下の3つです。
リスク①:歯周病が静かに進行し、最終的に歯が抜け落ちる
歯石は細菌の温床です。放置された細菌は毒素を出し続け、歯を支えている周りの骨(歯槽骨)をじわじわと溶かしていきます。
歯周病の恐ろしいところは、「痛みのないまま進行する(サイレントディジーズ)」という点です。
気づいたときには骨がスカスカになり、ある日突然歯がグラグラし始めて、虫歯でもない健康な歯を丸ごと失うことになります。
日本の成人が歯を失う原因の第1位は、虫歯ではなくこの歯周病です。
リスク②:強烈な口臭の原因になる
歯石にこびりついたプラークのなかの嫌気性細菌は、タンパク質を分解するときに「メチルメルカプタン」や「硫化水素」といったガスを発生させます。これは「腐った玉ねぎ」や「腐った卵」に例えられる非常に強烈な臭いです。
いくら口臭スプレーやマウスウォッシュを使っても、臭いの元凶である歯石を取り除かない限り、根本的な解決にはならず、周囲の人に不快感を与え続けてしまいます。
リスク③:全身の重大な病気(心疾患・糖尿病・認知症)を引き起こす
近年の医学研究により、歯周病菌が歯茎の血管から血液に乗り、全身を巡ることで様々な悪影響を及ぼすことが判明しています。
・血管を詰まらせる(心筋梗塞、脳梗塞のリスク上昇)
・インスリンの働きを阻害する(糖尿病の悪化)
・妊婦さんの場合、早産や低体重児出産の確率が高まる
・脳に悪影響を及ぼす(アルツハイマー型認知症との関連性)
お口を不潔に保つことは、寿命を縮めることに直結していると言っても過言ではありません。
◎ 歯石取りをした後の過ごし方と注意点
頑張って歯石取りを終えた後、お口のなかには一時的な変化が起きます。驚いて不安にならないよう、術後の注意点を知っておきましょう。
■ 2〜3日は「しみる」「浮くような痛み」があっても正常
歯石を剥がした直後は、歯の根元が露出するため、冷たい水や熱いお茶がしみやすくなります。また、歯茎のなかの掃除をした後は、歯が浮くような鈍い痛みや、歯磨き時の出血が続くことがあります。これらは、傷ついた歯茎が治癒しようとしている正常な反応です。通常、2〜3日から1週間ほどで自然と落ち着いていきます。
■ 刺激物の摂取を控える
術後当日は、歯茎や歯の神経が非常に過敏です。辛いもの、極端に熱いもの・冷たいもの、アルコールなどの刺激物は避け、優しい食事を心がけてください。
■ 歯が削れて隙間が空いた?という誤解
「歯石を取ったら、前歯の隙間がスカスカになった!歯を削られたのでは?」と心配される方がいます。
しかし、歯科医院の器具で健康な歯の頭(エナメル質)が削れることは基本的にはありません。
隙間が空いたのは、これまで「歯と歯の隙間を埋め尽くしていた大量の歯石」が綺麗になくなり、さらに「腫れていた歯茎が引き締まって本来の健康な位置に戻った」からです。
これこそが、治療が成功してお口が健康的になった証拠なのです。
◎まとめ
一歩を踏み出して、痛みのない健康なお口へ
歯石取りの痛みは、お口からの「これ以上細菌を放置しないで!」というSOSのサインでもあります。初めての通院や久しぶりの通院では多少の痛みを伴うかもしれませんが、それを乗り越えてお口の中を一度リセットすれば、次回からは驚くほど楽に、気持ちよくクリーニングを受けられるようになります。
現代の歯科医療は日々進化しており、患者さまの「痛みを減らしたい」という要望に全力で応える体制が整っています。
今の一歩が、10年後、20年後も自分の歯で美味しい食事を楽しみ、笑顔で健康に生きるための、何よりも価値のある投資になるはずです。
最近の投稿
- 【平塚駅の歯科】歯石取りはなぜ痛い…
- 歯茎が腫れた!痛い・痛くない原因と自宅での応急処置、放置のリスクを徹底解説
- 【平塚駅の歯科】突然の歯の痛み…その原因と応急処置、今すぐ受診すべき危険なサインを徹底解説!
- 【湘南の歯科口腔外科】顎関節症のサイン?朝の顎の痛みは歯ぎしりが原因かも
- 【平塚駅の歯科】ホームホワイトニングの料金や効果は?向いている人・向かない人の特徴も解説


